『雨』。
『濡れる』のは『嫌い』だけど、感じるのは『好き』だった。
窓もない壁越しから伝わる『穏やかな雨』の気配に、つい魅入る。

バンっ

『扉が開く』音。続いてパタパタパタと『軽い足どり』。
正確に言うと音が聞こえたわけではない。ただそれを感じただけ。
誰かの『名前を叫んでいる』みたい。

しばらくそれは続いたが、数刻もしないうちにその声は『小さく』なっていった。
代わりに今度は『違う』音を感じる。

カリカリカリカリカリ

『ねずみ』が『柱をかじっている』みたいな・・・いや、それよりもっと『緻密』で『規則性』がある。
わかった。『字を書いている』のだ、これは。
しばらくするとその音もまた消えて、違う音が聞こえてくるのを感じた。『鼻歌』かな、これは。
ついでにガサゴソと何かを物色するような音も。その音はだんだん『近くなってきた』。

ふむ・・・これもいい感じだな

そんな風に『聞こえた』気がするのだが、その言葉の意味はわからない。
壁が退き、部屋に光が入る。これは何というのか知っていた、確かこれは『明るくなった』というのだ。
私に小さな手のようなものが『触れた』感触がする。これもわかる、『暖かい』と『冷たい』だ。
しかしそれは『相反する感覚』だったように思うのだが・・・とても不思議な感覚だった。

ひょい

今、『心地よさ』感じた。これはなんだったかな・・・『風』?
それはとても『久しぶり』の感覚だった気がする。
しばらく宙を浮かぶようなかたちで遊ばれる。そして急激な落下。

・・・・・・『引っ張られてる』?

ガサッ

何かに『入れられた』。衝撃はそんなに大きくない。そこは意外に『広い空間』なのか、『縦』に『横』に暴れる。
また、バンっと『威勢良く扉が開かれ』、私は何も思い浮かべる間もなく・・・外のさらに外の世界に『出た』。


いつの間に地上から離れたのか、『空気』の質が地上のそれとは『違う』。
しばしその空気を『堪能する』。
不意に『掴まれる』。なにやらカリカリ『引っかかれたり』、『粒状のモノ』を『振り掛けられたり』している
ようだ。
それは一体何を意味するのか・・・考えても考えても、さっぱりわからなかった。

ぽつっ・・・ぽつぽつっ・・・

『強まってくる雨』の気配。
私を手にとる者もその気配に気付いたのか、感じる『風が増した』。

ぽつっ・・・ぽつぽつぽつぽつぽつ・・・っ・・・

雨のほうが変化が早い。先ほどまでの穏やかなそれとは別人のようだ。
私の頬を『水』が掠めていく。ジワッと『染み込むような』感じがした。
やっぱり私は『濡れる』のは『嫌い』だった。





ぽつぽつぽつぽつぽつぽつぽつっ・・・ザァ──────





──────ザァーザァーッ!! ザァーザァーッ! ザァーザァーッ・・・





「ざぁーざぁー雨あめ、嬉しくない」
「お嬢様、お行儀が悪いですよ」
「だって、つまらないから仕方ないわ。起きたらやんでると思って楽しみにしてたのに」
「それでもお食事の間くらいは歩き回らずに食べてくださいな」
「咲夜は私と雨のどっちの味方なのかしら」
「もちろんお嬢様ですわ。でも今はそれ以上に仕入れたばかりのカーペットの味方であってもよろしいでしょうか?」
「ダーメ」

カチャカチャと空中で揺れるカップから、また一滴・・・紅茶がこぼれる。

「おっと・・・」

カーペットに触れるか触れないかの微妙な距離で、その落下が止まった。
すかさずそこにタオルを持っていき、そっとそえる。
そこでやっと耐えかねたように落下再開、華麗にタオルに吸い込まれてゆく。

「・・・わざと溢してませんか、お嬢様?」
「気付くのが遅いわ、咲夜」
「気付いていたのを改めて確認しただけです」

ザァー・・・ザァー・・・

お互い沈黙、雨の音だけがそこに残る。

「あーもぅ、本当なら霊夢のところに遊びに行ってるのにー」
「あら、今日はフランドールお嬢様とお遊びになるはずでは?」
「それはもう黒いのに連絡をつけて任せているの、フランも喜んでたわ」
「聞いていません」
「言ってないもの」

ザァー・・・ザァー・・・ザァー・・・

再び沈黙、そろそろお互い不毛になってきたようだ。

「ふぅ・・・なんか面白いことってないかしら」
「こう、晴れているんだか晴れていないんだかわからない天気が続いては、お布団も干せません。
 お日様が恋しいですわ」
「どしゃ降りの中で泥んこになって遊ぶっていうのはどう?」
「お嬢様は咲夜を過労死させたいのでしょうか。ただでさえ今は衣類が乾きにくい状態なのですよ」
「咲夜、ここは笑うところよ」
「はぁ、それでは失礼して。フフフッ♪」
「・・・」

そもそもレミリアは雨の中では動けない。そのことを咲夜が失念しているとは思えなかった。
わざと惚けているのか、言葉の付き合いか。それは多少の退屈しのぎにはなるが、やはり足りない。

「刺激が足りないー」
「ナイフならここにありますわ」
「何に激しく刺す気かしら?」
「もちろんそこのダーツの的にございます。今しがた用意いたしました」
「・・・まぁいいわ」

レミリアの細く小さな指から綺麗な直線を描いて、ナイフが飛ぶ。

ストン

「ハズレ、0点ですね」

壁に開いた穴は後ほど修復しなければならない。即席で作ったスコア用紙に『お嬢様1投目、0点』とつける。

「あ、あのー・・・」

「咲夜、今のは私がはずしたんじゃなくて的が避けたのよ」
「それでもハズレはハズレですわ」

「あ、あのー!!」

「ちょっと・・・本気になりそうね」
「でしょう、ゲームとは互いが本気でぶつかり合うから面白いのです。それでは次は私の番ですね」

咲夜の手に、スッとナイフが現れる。それを独特のフォームで振りかぶって・・・!

ストン

「あら、咲夜には的がどれだけ大きく見えているのかしら。0点ね」
「今のは小手試しでしたから。的がどのくらいの速度で動けるかの」

「だ、だから、あのー!!」

「本気ね?」
「本気ですわ」

ジャキッと二人の手に現れる無数のナイフ。

「な・・・な・・・な・・・なんでこうなるんですかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

もう順番すらお構いなしに飛んでくるナイフの嵐。
美鈴の悲鳴は、雨音のせいで大して響かなかったとか。





「その時おじいさんとおばあさんは、開けてはいけないと言われていた戸をうお!?・・・今何か屠殺目前の
 生物のような悲痛かつ断末魔な叫び声が聞こえなかったか?」
「魔理沙ー、そんなことより続きー」
「あ・・・ああ、すまんすまん」

聞こえた悲鳴に少し興味が引かれたのだが、フランに一蹴されて続きを読む。
地下のとても殺風景な一室、フランの部屋で絵本音読大会は行われていた。
もうすでに絵本は最後のものになっている。横で無造作に詰まれている絵本。白百合姫、がちがち山
三匹の騒霊、巫女と芋の蔓、そして今読んでいるはワーハクタクの恩返し。
最高のチョイスだと思っていた、少なくとも選んだ本人は。ちなみに巫女と芋の蔓は自前の本である。
表紙を飾るやる気のなさそうな巫女が特徴的だった。
そうこうしてるうちに最後の本も読み終わってしまう。フランも終始機嫌がよかったので、こちらとしても
一安心だ。

「あー面白かったー」
「そうかそうか、私も結構楽しかったぜ。こういうのを読んでると童心に戻った気分だ」
「特にそれがよかった」
「三匹の騒霊か?」
「最後にレンガの家ごと三匹が吹っ飛ばされた時は爽快爽快」

そういえばこれを読んでいる時が一番キャッキャ言ってたような気がする。
こんなに喜んでもらえるなら、また読んでやろうと思った。

「ふー、しかし絵本の5作品連続音読は思いのほか大変だったかな」

ごろりと横になる。この無機質な感じの冷たさがちょうどいい。
この部屋に椅子は一脚しかない。だからここにきた時はテーブルなんて使わずに、大体は床でごろ寝で遊ぶ。
咲夜の掃除が行き届いているのか、埃一つ落ちていない。
ふと気が付くと、さっきまで隣にいたフランがいない。顔をあげると、部屋の隅にあるテーブルのところにいた。

「咲夜が淹れた紅茶が保存してあるけど、いる?」
「原材料は?」
「レッドブラッドのファーストフラッシュよ、時間が止めてあるから何時でもフレッシュ」
「紅魔館3大銘茶のうちの唯一アレなやつだな、私はいらないぜ」

紅茶と呼ぶことすらおこがましい飲み物だった。確かに色は紅だが。
ちなみに、残りの二つは人間でも飲める希少品入りの紅茶のことであった。

「魔理沙が飲まないなら私もいいやー」

適当にうっちゃってこっちに戻ってくる。置かれたベッドに、2人してもたれた。
本当に殺風景なフランの部屋。あまり家具の類が置かれていないのは理由がある。
シンプルかつ致命的な理由が一つ。
『壊す』からだった。
ただ壊れるだけなら咲夜の力で直しようがあるのだが、大抵の場合は塵すら残らない。
だから高価、というよりも丈夫なものが揃えられている。
しかし、今背中をあずけているベッド。魔理沙の知る限りでも、このベッドは今3代目だった。

「魔理沙・・・私お腹すいたかも・・・」
「2代目はとてもいい奴だった、お前はその息子なんだぜ・・・それを誇りにお───おお、お腹がすいたか
 そうかそうか」

つい感情移入してしまっていた。心の中で2代目に敬礼をしてフランドールのほうに向き直る。

「そうだな、そういえば私もすいた気がするぜ。メイドを呼んで飯をいただくとするか」
「んー・・・」

なんかいまいち乗り気ではないようだ。
この反応を魔理沙は知っていた。
・・・そしてあんまり知りたくなかった。

「魔理沙の・・・頂戴?」
「さー私はいつもの3倍の速度で咲夜を呼びに行って来るぞぉー、いい子にして待ってろよーフランドー───」

がしっ!!

「ルゥ!?」
「ね・・・いいでしょ、魔理沙」

凄い力で掴まれて動けない。
そのまま床に押し倒される。目が、目が直視できないくらい怖い。

「ま、待て・・・」
「いただきまーす」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

それはよくある出来事。しかし毎回ながら突然すぎる。
魔理沙の叫び声は、本館に続く階段の途中までしか聞こえなかったとか。





「魔理沙ッ!?」

ゴッ

振り向いた先に本棚があった。額を少しすりむいた。
思わず頭を抱えてうずくまる。

「うー・・・痛いわ」

虫の知らせみたいなものを感じたのだが、痛みでよくわからなくなってしまった。
しかし自分の中では結構あたると思っていた。
一応作業の手を止め、痛みを堪えて妹様の部屋まで魔力の探りを入れる。

「第1魔力封呪壁、第2魔力封呪壁・・・第3、最終魔力封呪壁、確認・・・妹様が暴れだしたんじゃないみたい」

冷静になって考える。妹様が暴れだしたなら、紅魔館で何らかの反応と対応がある。
それに今は魔理沙が一緒にいるのだ。
ただの取り越し苦労か・・・そう思うとまた本に戻った。


結局、この本について調べてわかったのは、ほんの少しの事しかなかった。
この本は日記であった。どうして日記だとわかったか、表紙に『diary』と書いてある。
ついでに言うとすべてのページは真っ白の白紙だった。

「・・・・・・」

数時間調べてこの収穫だ、黙りたくもなる。
それらしい本を結構調べてみたのだが、結局この本に関する文献等は見つからなかった。
意思をもっているという事さえ怪しくなってきたかもしれない。なんたってそれを確認することが出来ないのだから。

「うーん、何かいい方法は・・・」

こういう実験的なことになるといまいち頭が働かない。
あくまで私の専門分野は文型、あと精霊魔法。
同じ実験でも符と符との掛け合わせなら得意なのだが・・・。

「・・・符との掛け合わせ?」

何か思いつくことがあったらしい。
忘れないうちに本を一冊呼び出して、それに目を通す。

「・・・あったわ、これよこれ」

そういえば最初に考えたことである。それを応用すればよかったのだ。
私の調べ物は、ここにきてようやく進展を見せた。





ギィと、力なく扉が開けられる。こんな開け方をする人物がこの館にいた憶えはない。
誰だろうと思って影から覗く。

「うー・・・あぶなかった、あぶなかったぜ」
「・・・うぁ」

魔理沙だった。いっぱいいっぱいなその風貌に、それしか言葉が出なかった。

「そこかパチュリー」
「妹様と絵本を読んでたんじゃなかったのかしら」

ついジト目になってしまった。

「勘違いするな、この着衣の乱れはフランに襲われたからだぜ」
「・・・・・・」

逆効果。

「違う、血をねだられたんだ。本気で吸いかかろうとしてたからな、ちょっと抵抗した」
「じゃあいつも通りね」
「ああ、いつも通りこれで我慢してもらった。首に大穴あけられるよりはな」

そう言いながら手をこちらに見せてくる。人差し指に針で刺したような傷があった。
まだ血が止まりきってないのか、時折その指を咥えている。

「あれ、パチュリーも血が出てるぜ。怪我でもしたのか?」
「ん?」

魔理沙が額を指す。
暗かったのとそれほどたいしたことなかったので、言われなければ気付かなかった。
確かに触れると血が滲んでいる。

「これは・・・虫の知らせよ」
「ふーん、まぁたいしたことなさそうだからいいが・・・ああ、で、その後の進展は?」
「一応あったわ、今からそれを試すところ」
「そうか、じゃあじっくり私もそれを見物だぜ」
「あら、今日は帰らないの?」
「帰ろうかと思ったんだが、思いのほか雨足が強くてな。とにかく今日はお泊りだぜ」

そう言うと、最近魔理沙用に設置したソファに腰をかけた。
いわゆるソファベッドという大きいやつだ。魔理沙が滞在する時の寝床も兼ねている。結構お気に入りらしい。

「ここじゃ実験は出来ないから、とりあえず向こうに行くんだけど・・・」
「おー、このソファは結構ふかふかだぜ」
「わかったわよ、それ向こうに移すから」

実験室。
主にパチュリーの符の生成、符と符の合成をする場所。
魔力によって制御されたその空間は、ある程度なら無茶をしても大丈夫な場所だった。

「あー・・・しまった、ちょうど媒介を切らしてたんだったわ」
「媒介?」
「なしでも出来るんだけど、長時間を持続させようと思ったら・・・私の場合ちょっとね」

コホコホと喘息のジェスチャーをする。

「媒介ってどんなのなんだ?」
「時期的に強い力が引き出せるのは水の精霊だから・・・魔力を通しやすい球形の物がいいだけど」
「球形・・・球形・・・」

思い当たることがあったのか、ポケットをガサゴソ探り出す。
そして一つの小瓶を取り出した。

「・・・胡椒?」
「いや、間違った、これじゃない」

それをしまうと、もう一度ガサゴソ。
同じく小瓶だが入っているものが違う。

「これだ」
「・・・・・・ああ、『丹』」

そういえば貰った。
都合のいい事に、魔力増幅効果もある魔理沙の新作の『丹』を。
形状も丸いし、条件は満たしている。

「それ丁度いいわ、もう一粒頂戴」
「構わないが、本当にこれで大丈夫なのか?」
「大丈夫、いつも使う硝子球と大きさは大差ないから。重要なのは丸いこと。むしろ元に魔力内包がしてある分
 硝子球より扱いやすいわ」

そう言って、紫色に輝く小さな珠を受け取った。
『丹』を片手にさっそく術を唱え始める。
次第に青い光が『丹』を包み、宙に浮きだした。

「───より、我が下に来たれ、静なる水精」

唱が終わった瞬間、ゴゥと凄まじい魔力が『丹』を中心に渦巻きだす。
例えるならそれは小さな洪水だ。手を突っ込めば引きちぎられそうな程の水流。

「おいおいおい、これはちょっと迫力ありすぎやしないかい?」
「大丈夫よ、ちょっと気が荒ぶってるみたいだけど、もう少しすれば落ち着くわ」

しばらくするとパチュリーの言った通り、落ち着いたように『丹』の中に吸収されていく。
そして次第に大きくなって、水のように透き通る。
丁度それは、サッカーボールよりちょっと大きいくらいのサイズで止まった。

「やっと落ち着いたみたい、この時期だと力を持て余しているのよいつも」
「それが進展ってやつか」
「ええ、符の合成を参考にさせてもらったの」

そこに例の本を取り込ませる。球体の中心でそれは浮かんだ。
見た目はただの水球に見えるが、この中に物を入れたからといって濡れることはない。あくまでこれは魔力的な
物質だ。
モノと精霊の合成。それがパチュリーの閃いた案だった。
もっとも合成といっても、本と精霊を完全に混じり合わせることは出来ない。言うなれば、『宿す』といった
ところだろうか。
とどのつまりは、水の精霊に本の意思を代弁してもらおうという事である。

「もう大丈夫だと思うけど・・・返事できる?」
「──────」
「アーアー、君は完全に包囲されている、悔しかったらおとなしく喋りだしなさい」
「魔理沙っ!」
「違ったか?」
「──────」

反応なし。
まったく反応なし。

「やっぱりガセだったのかしら」
「無口な本なのかもしれないな」

それだったら正直お手上げだ。
諦めかけたその時・・・

「───ワ───ノ?」
「!!?」

聞こえた。
小さすぎてうまく聞き取れなかったが、確かにほんの僅かだが反応があった。
魔理沙も思わず立ち上がって、その水球に手を触れようとする。

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・触れようと?

「ダメ魔理沙!!」
「ぉあ?」

声を張り上げるが間に合わなかった。
魔理沙がそれに触れた瞬間、水球がグニャリと歪む。
水の精の機嫌を損ねたかもしれない・・・パチュリーは焦った。ただでさえ今の水の精は力を持て余している。
そして焦っていたからこそ、パチュリーもこれまでにない『ミス』をした。

グラッ・・・

「───え?」

慌てて水の精を制御しようとして足元がふらつく。
貧血だ。
そしてそのまま倒れこむように・・・

「おお、ナイスヘッドバット」

ある種感動したように魔理沙が呟いた。
事態は最悪だった。





ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・!!!

紅魔館が揺れる。
その気配と音はレミリア達にも伝わった。

「咲夜」
「聞こえました、どうやら図書館からのようです」
「パチェの実験のようだけど・・・ちょっとこれまでにない臭いね」
「行ってみますか?」
「行きましょう、そろそろこっちも飽きてきたわ」

「ハー・・・ハー・・・よ、避けきった、よく頑張った私・・・がくっ」

美鈴だけはその場に倒れた、いい笑顔で。





バンっ

図書館の扉を開けるが、パチュリーの姿は見えない。
奥の実験室にいるようだ。そこから魔理沙の喚き声も聞こえる。

「おいパチュリー、これは一体どういうことだ」
「・・・ごめん、ちょっと倒れていい?」
「待て、せめて『これ』をどうにかしてから倒れろ!!」

ギャースギャース

そんな会話が繰り広げられている。
到着したレミリア達の目に3人分の影が映った。

「おお、レミリアと咲夜か、なんか大変なことになったんだ。助けろ」
「見ればわかるわ・・・一体これはどういうことかしら」

魔理沙が叫んだ科白をレミリアも繰り返す。

座り込む二人に抱きつくようにしている素っ裸の『それ』。
『それ』が発する言葉を聞いて、そこにいる全員がさらに凍りついた。



「ママ・・・パパ・・・」



「・・・夢よね?」
「・・・これは夢か?」

パチュリーと魔理沙が、同時に、そしてうな垂れるように呟いた。



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